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icon of Amane Katagiri おうち縁日は発電機で焼きそばを食え!

おうち縁日というのがあるらしい。

縁日というのは、ハレの日だ。ハレの日というのは、つまり屋台が出る日ということだ。多くの人がイメージするのは、昔ながらの神社が開く例大祭で参道や境内を埋め尽くすいわゆる三寸屋台であろう。小さな売台の前と左右に幕を垂らし、そこにはロダンルテミと書かれている。つくばにいた頃には、一ノ矢八坂神社でニンニク祭りという独特な夏祭りがあった。

文字通りのおうち縁日なら、こうだ: 最寄りの熊野神社あたりで御分霊をいただいて庭に小さな社を建てる。参道を整備する。例大祭の日付を決めて近所に知らせる。それから馴染みの露店商を誘う。もちろん一般公募でもいい。当日は庭が屋台で埋まり、ハレの日らしい食べ物やゲームを楽しむ。神さまが繋げてくださった縁に感謝する。いや忘れていた、つまり神輿も作っておくべきだ。

しかし、現実のおうち縁日というのは、こうだ: 土着の縁や雑然とした喧噪が渾然一体になった縁日をバラバラに解体する。そこから屋台を取り出す。屋台をトンカチで割って中のコアを集める。屋台のコアというのは、射的、輪投げ、かき氷、チョコバナナ、焼きそばなどである。つやつやした丸い屋台のコアを机に並べて、提灯のガーランドや横幕を飾り付ける。つまり、屋台のコアを経由して縁日を再構成するV字モデルを描く。

要するに、屋台っぽい飾り付けで屋台っぽい体験を楽しむのが「おうち縁日」である。軽くインターネットを探してみると、壁や机にすだれをかけて夏っぽい飾りやおしながきを貼り付ける、どちらかといえば海の家っぽいスタイルのコンセプトの屋台が多い。すだれの代わりに紅白幕を使った演出も、見た目は福引や甘酒の配布コーナーに近いかもしれない。

この屋台っぽい、というのが重要である。ここにいわゆる「縁日」の姿はない。おうち縁日を紹介する写真だけを見れば「おうち屋台」とでも呼ぶべきイベントが、そう呼ばれていないのには理由がある。

縁日というのは、ハレの日だ。ハレの日というのは、つまり日常の中にある非日常ということだ。「おうち」が日常であり「縁日」が非日常なのだから、それを組み合わせた「おうち縁日」が日常の境界を飛び越える新たな儀式なのは明らかである。

言うまでもなく、おうち縁日それ自身が自然に日常の境界を飛び越えるわけではない。「おうち」の先に漫然と「縁日」を置いただけでは、やはり非日常は起こらない。「おうち」の日常を自分たちが支配できる範囲と定義すれば、「縁日」の非日常はその外側の支配できない領域だ――土着のお祭りや神仏は分かりやすい代表例にすぎない――といえる。

おうち縁日が提示する非日常さのリアリティを高めるための取り組みは様々である。表面的な飾り付けのアイデアだけではなく、その手作りの屋台を非日常に送り出す仕組みなしでは「おうち縁日」は成立しない。

例えば――きちんと始まる時間と終わる時間を決めること、100円玉を入れた小さながま口を持ち寄って遊べる回数を決めること、いつもは着ないお気に入りの浴衣を着てくること、縁日の場所を「夜」に仕立てること、あるいは家の中に屋台までの参道を作ること。もちろん、「おうち」で聞くことのない音を流すのも効果的である。祭り囃子、盆踊り曲、打ち上げ花火の音などが流れる空間はいかにも「縁日」っぽい。

ただ、こうして「いかにも」な演出を加えて隙間を埋めていくと、細部までなめらかに仕上げられた「縁日」空間に神は宿らないことにも注意が必要である。

本物の「縁日」は、あらゆる景色が非日常で埋められているわけではない。祭り囃子も打ち上げ花火も祭りの一瞬である。屋台で射的をしたり焼きそばを受け取る時間も、そうだ。お祭りに出かける多くの時間は誰かと歩いたり、屋台を眺めながら話したり、薄暗い境内の階段に座って休んだりする。

さて、私たちが「縁日」を歩き、話し、休んでいるときに自然に聞いているのに「おうち」ではあまり耳にしない音――

屋外発電機?: 街の環境音2(騒音系)~フリー効果音・無料効果音素材

これこれこれ! 興奮してきたな。ちょっとループさせてみるか……繋がってる! さすが効果音素材だ。もうちょっと長くしてみよう。

image and video generated by ChatGPT Images 2.5 and MiniMax H3 Max, sound provided by 小森 平1

こりゃいい! 1時間くらい流しっぱなしにすればもう完璧だな。この音をおかずに透明なパックに入った焼きそばを食べれば、もう薄暗い神社でしゃがんでいる気分だ。縁日には、落ち着いて食べられるテーブルなんてほとんどない。ふにゃふにゃのパックを片手で支えて箸も使いにくくって、ソースの味しか分からないけど……なんだか楽しい。こいつ、笑うとこんなに可愛いんだ!

つまり、よく仕上げられた「おうち縁日」の空間と時間を日常から断絶した上で、普段は意識しない感覚で残った隙間を埋め戻すと、それ自体が「縁日」の非日常性を高めていく。「おうち縁日」というのは、こうした絶妙なバランスの上に成り立つ結界を楽しむイベントだといえる。

最近は静音型の発電機や蓄電池型のポータブル電源も珍しくなくなった。騒がしい発電機の音を聞く機会自体は徐々に減っていくだろう。それでも、まるで車にでも乗っているような発電機の揺れを感じながらパサパサの焼きそばを頬張ると、急に日常と非日常の境目が分からなくなるものだ。

ここで、おいしい縁日焼きそばの作り方: 具材は少なめでOK! 豚こまをちょろっと申し訳程度に、入れたければにんじんかもやし、キャベツは芯に近い部分を大きめに切って入れるのがオススメ。具と麺は別々に、もしあればラードで炒めるといいね。味付けは粉末ソースで、フライパンでしばらく放置してからもう一回温めると、いい感じにパサパサになるよっ。

秋祭りならまだ間に合う。今週末、おうち縁日は発電機を聞いて焼きそばを食え!


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