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バーチャルセックスでは暴力が存在しないって本当ですか?

「バーチャルセックス」体験したらすごかったし人類を滅ぼしかねないと思った話という記事を読み、いくつか感想をツイートしたところ、著者であるバーチャル美少女のねむ氏から直接リプライをいただいたので、気付いたことをまとめておく。

なお、筆者はVR空間の可能性を否定したり、現実でもバーチャルでもセックスに暴力を持ち込みたいと考えているわけではない。

記事の概要

記事としては、ねむ氏のバーチャルセックス体験と、バーチャルセックスに関する考察を述べており、2021年は「バーチャルセックス元年」となるだろうという展望を述べて締めくくっている。

まず、VR風俗X-Oasis+動画配信サイトFC2ライブでバーチャルAV女優のKarin氏がねむ氏にサービスを行う様子を公開生配信したことと、それに伴う衝撃的な体験の様子を述べている。さらに、姫乃あんり氏、バ美肉風俗嬢のfeath氏とも同様にバーチャルセックスの公開生配信を行ったことを紹介している。

これらの体験により、ねむ氏は次のようなバーチャルセックスに関する考察を得たという。その考察によれば、バーチャルセックスのメリットは、

遠く離れた相手と行為に及べること
自分と相手の現実の性別の制約から開放されること

であり、さらに、

妊娠・感染・暴力の三大リスクが排除されます。

とも述べている。デメリットとしては、VRデバイスの所有が必要だとか、VR感覚の適性を求められるということが挙げられているが、これはあまり本質的なデメリットには見えない。技術の進歩とコモディティ化で徐々に解決されていくだろう。

「暴力が排除される」とは?

先の記事では、バーチャルセックスは、

妊娠・感染・暴力の三大リスクが排除されます。

というメリットがあると述べられている。裏を返すと、現実でのセックスではこれらのリスクが残っているということだ。確かに、妊娠や性感染症は男性用コンドームなどである程度リスクを低減できるものの、装着ミスや相手の不協力によって比較的簡単に破られうる。バーチャルセックスはお互い その場にいない から、物理的に精子が流れ込んだり、細菌やウイルスが付着することもない。

しかし、暴力が排除されるとはどういう意味だろうか? これについて、ねむ氏から以下のような言及を受けた。

「バーチャルセックスでは暴力が存在しない」がよく分からない。バーチャルセックスできるようなつがいはリアルでも暴力なくセックスできるんじゃないの? セックスに暴力を持ち込む人間からセックスを取り上げる取り組みってことなのかしら。
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@amane_katagiri 結婚しているリアルカップルでもDVが問題になっているくらいなので、そんなことはないかなと思います。とはいえ、バーチャルセックスでも言葉や権力による暴力は排除できませんね。 https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20120925-00021817/
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なるほど、「言葉や権力による暴力は排除でき」ないというのは正しそうだ。しかし、私が言いたかったのはもっと別のところにある。

バーチャルセックスから暴力が排除されている、というのはどういうことか。技術的には、妊娠や性感染症と同じく、 その場にいない おかげで物理的な破壊力を行使できないということだろう。私はVRにはあまり詳しくないけれど、物理的な破壊力を伝達できるVRデバイスを見たことはまだない。

しかし、技術の進歩によって物理的な破壊力を行使できるようになるかもしれない1。そうしてVR空間に暴力を持ち込めるようになったとしたら、それはもはや、ねむ氏のいう バーチャルセックス ではなくなるのだろうか? 暴力がないことは、バーチャルセックスをバーチャルセックスたらしめている特徴だろうか?

それはあまりに一面的すぎる解釈に思える。VR空間は単に暴力を排除するためではなく、物理的・空間的・距離的な問題、そして肉体的な問題を緩和するために作られているはずだ。

では、ねむ氏の述べる「バーチャルセックスでは暴力が排除される」とはどういう意味なのか? いくつか考えられる。

  1. 技術が未発達だから、バーチャルセックス上で物理的な暴力は実現 できない
  2. 倫理に反するから、バーチャルセックス上で暴力は実現できないようにデザイン するべき
  3. 私は、バーチャルセックス上で暴力を振るう人を 見たことがない

1の意味であれば、技術の進歩によって「バーチャルセックスでは暴力が排除される」とは言いがたくなり、最終的には現実のDVやレイプのような問題として語られるようになるだろう。

2の意味であれば、バーチャルセックスを行うVR空間というのは、いわゆる排除アートのように特定の行為を実現できないように作られた世界だといえる。もちろん、セックスに暴力を持ち込みたくない/持ち込まれたくない人にとっては、これは平和で理想的な空間だろう。

どちらにせよ、現状のバーチャルセックスでは、暴力を振るいたい人はその衝動を抑えつつコミュニケーションする必要があり、ねむ氏がバーチャルセックスのメリットとして述べている内容はメリットたりえない。となれば、そもそもセックスに暴力を持ち込みたい人はこのような場に集まらないだろう。そのような人たちにとっては、

肉体という余計なフィルターを通さず、アバターという魂の姿で触れ合う行為は、ある意味ではリアルな行為よりも「えっち」だと感じました。

というねむ氏の体験とは正反対の、腕を出せない半透明のベールに包まれたとでもいうべき不完全な体験となるはずだ。これをもって「バーチャルセックスでは暴力が排除される」と述べているとすれば(これが3の意味である)、バーチャルセックスは限られた人のためのものなのだと考えざるをえない。

暴力がないのはいいことだから、システムから見えないように排除してしまった方がいい? そうかもしれない。では、小児性愛者は消えるべき? 3Pって倫理的なんですか? そのような判断の繰り返しから形作られた場は、私の素朴な感性からいえば、むしろ記事冒頭で述べられているような「抑圧の象徴」に見えてならない。

おまけ: 気付き一覧

避妊セックスでは生殖と性行為を分離したことにならないの……?
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「バーチャルセックスでは暴力が存在しない」がよく分からない。バーチャルセックスできるようなつがいはリアルでも暴力なくセックスできるんじゃないの? セックスに暴力を持ち込む人間からセックスを取り上げる取り組みってことなのかしら。
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「バーチャルセックスならセックスをオープンにできます」と「避妊と性感染症予防をすればセックスをオープンにできます」は、ほとんど同じことを言っていると思うけど、まぁVRは肉体を捨てられてえらいのでそこが違うのかもしれない
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> 極端な話、もはやバーチャルセックスは「嫌らしくない」「はしたなくない」「秘め事ではない」という考え方もできるかもしれません。そうなるとセックスは一般的な自己表現手段の1つとなり、例えば一般人でも情事の共有や公開が一般的になるかもしれません。
これかなり嘘っぽい
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「リスクがなくなったんであなたの情事は恥ずかしくないっすよ!」ってかなり無茶なこと言ってる気がする
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例えば、セックスに暴力を持ち込むのが好きな人のために頑張ってバーチャルセックス上で暴力(物理的な打撃を加えるのか脳に直接信号を送るのかは分からないけど)を実現したとすると、もう「バーチャルセックスに暴力は存在しない」とは言えなくなるよね
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「バーチャルセックス上で暴力は実現できない(技術が未発達だから)」「バーチャルセックス上で暴力は実現できない(倫理に反するから)」「バーチャルセックス上で暴力を振るう人を見たことがない」は全部違うよね
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倫理に反することを実現できないように作られた世界って、排除アートみたいなもんでいろいろ考えたくなるところがある
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バーチャルセックスでは、暴力を振るいたい人でさえも「肉体という余計なフィルターを通さ」ずにコミュニケーションすることになるわけだけど、現状はそれがメリットにはならないよね
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で、それがバーチャルセックスをバーチャルセックスたらしめている特徴なんですか、と
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まぁ妊娠や性感染症を防げるのはほとんどの場合メリットでしょう、そこは分かる
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  1. 物理的な打撃を加えるデバイスを装着したり、脳に直接痛みを与える信号を送るなどして。