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虚無デパート

シャッター

概要

5月2日(検見川浜、南船橋、市場前)および5月4日(野田市)に取材を行った。括弧内は全て最寄りの駅名である。ここでは、いくつか特筆すべき虚無についてまとめようと思う。

地域別の虚無

検見川浜

前回に引き続き、検見川浜の団地の取材に赴いた。検見川浜には公団住宅やそうでない団地が密集しており、常に人間とは何か、どう生きるべきかを我々に問うている。

フラクタル
駅から徒歩数分。地平線の彼方まで全く同じ建物が続いている様子が分かるだろうか?

家へ帰ろう
鬼ごっこ開始までのカウントダウンを高らかに告げていた公園の子どもたちは、どうやって自分の家を探すのだろう。

生活

時間の止まった街
奥に見える巨大なマンションが、一枚の写真の中に厳然たる時間的隔絶を作り出している。

写真を撮り忘れてしまったが、検見川浜の住民が愛用しているだろうイズミヤという複合商業施設を見つけた。2017年5月10日で20年以上の歴史の幕を下ろすとのこと。思わぬ虚無の誕生に心が躍る。

南船橋

検見川浜から電車で10分ほどの場所に団地を発見した。検見川浜のそれらよりは規模が小さいが、シャッターの下りた団地付属の商店街は虚無の切れ端を見せてくれる。

徒歩圏内にIKEAとららぽーとがあり、住民の生活に無くてはならないものであることを伺わせる。IKEAの虚ミートボールは一切の天然成分を感じないほどに完成しきった味であった。

テクスチャ

貯水タワー
URのタワーからは何が見えるのだろう。我々も監視されているのだろうか。

市場前

市場前の「市場」とは、世に言う豊洲新市場のことである。

豊洲新市場とは、東京都が総力を挙げて生み出した廃墟であるところの「豊洲市場」の通称である。2年以上にわたる廃墟の建設は他に類を見ず、今後は日本人観光客のみならず外国人観光客をもターゲットにした人気観光地になってもおかしくはない。

誰もいない改札

誰もいない窓口
がらんとした駅に、無人駅であることを示す貼り紙があった。23区内に無人駅があることに驚きと幻滅を隠しきれず、私はしばし改札の前に立ち尽くしていた。

通行できない歩道橋

何も知らない案内標識
市場はもちろん、市場周辺のあらゆる構造物はそこに在るべき理由を見失っている。歩道橋の入り口は塞がれているし、案内標識はもはやどこへ案内する気もない。

とは言え、本来虚無たる廃墟というのはそういうものだ。流石は都営の廃墟といったところだろうか。

主張
飾り以上の意味を持たない看板である。確認できなかったが、夜に光るとより一層虚無であろう。

門の前で微動だにしない警備員は、いったい何を守っているのか。尋ねたところ、一言「虚無」と答えてそれから何も言わなかった。

墓地
外壁は晴天も相まって非常に美しい。作られたばかりの廃墟はこんなにも魅力的なのだ。

完成直後のピラミッドもまばゆい輝きを放っていたと聞く。願わくば、この廃墟が数千年もの間残り続けることを。

蟻さえ通さぬ

虚無への門
どこからも市場の中へ入ることはできなかった。ピラミッドや始皇帝陵のような荘厳さを感じさせるための工夫に違いない。

零
絶対にカウントが増えることのないメーター。こういう遊び心も、都営ならではの工夫であろう。

野田市

東武鉄道は我々を虚無へと連れていってくれる。

東武動物公園も鬼怒川温泉も、虚無そのものかあるいは虚無のど真ん中にまっすぐ立っているのだ。

工廠

田舎小学校
今にも終業式を終えた小学生たちが飛び出してきそうである。

第■駐輪場
とうとう駐輪場の果てを見つけることはできなかった。

横断旗
キッコーマンもの知りしょうゆ館への横断歩道にあった横断旗。なお、館はGW中のため休業であった。

おわりに

なーにちゃん

私といっしょにもっと虚無を見学しましょう。